• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第76章 知らず知らずの内に、同じ女に惚れていたんだな




フィリップが退室した後、私はすぐMAKAに質問をぶつける。


『もしかして、ボブとお付き合いをしているのですか?』

「へ?ボブって誰?」

「ボブじゃなくてフィリップだろ!」


そうだった。未だに彼の名前がフィリップであると、頭が認めてくれないのだ。あの黒い海坊主のような男が、どこぞの王子様みたいな名前をしている方が悪い。


「あっはは!何それボブって!
でもそうよ!付き合い始めてそろそろ2ヶ月くらいかなー?もう超ラブラブでねぇ♡え?なりそめとか聞く?聞いちゃう?」

「『いや、いい』」


彼女の恋愛体質は、相変わらずらしかった。

私と楽が揃って顔の前で手を振って、いらない のジェスチャーをすると。彼女は頬をぷくりと膨らませて、つまんないの。と呟いた。

すぐに話題を移すかに思えたが、恋愛至上主義の彼女だ。次の話題も、当たり前のように恋愛系をチョイスする。


「で?楽は相変わらず、エリのこと探してるの?」

「あぁ…って、おい ちょっと待て。なんでMAKAが、俺がエリを探してること知ってるんだ」

「なに言ってんのよ!!あんた あれだけしつこく私に、LioはどこだーLioはどこだーって聞いてきたじゃない」


2人の会話に、私は全身の血が引いていく音を聞いた。ザーーっと、波が引いていくようで…まるで大津波が来る前の海みたいな…


「だから、俺がお前に聞いてたのはLioの行方で、エリの居場所じゃな」

「えぇ!?うっそ!信じられない!!もしかして楽ってば、エリとLioが同一人物であるって事にすら気付いてなかったわけ!?」


私は恐る恐る、隣に座る男に目を向ける。

楽は…
全身の血が、ザーーっと引いてしまったような顔をしていた。


「私の日本でのラストステージで、エリに会ってたくせに!」

「だ、だから…その時に楽屋で会ったのはLioであって、エリだとは認識出来てなかったんだよ!」

「あ、そっか。あの子、楽に自分の名前言わなかったんだ…」

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp