第74章 高校生の時の、俺の彼女
どうすれば、秘匿し通す事が出来るだろうか。必死に知恵を絞る。まさか、人をダースベイ●ーに変えてしまうような面をずっと着けるわけにはいかない。
必死に知恵を絞るも その努力虚しく、良い案は浮かんでこなかった。そしてそのまま、リハーサルの時間を迎えてしまうのだった。
収録スタジオ。
MEZZO"の2人は、セット内にてスタンバる。TRIGGERは壮五の声掛けでセットに登場する段取りなので、裏で待機。
私と万理はというと…
台本を片手に持ち、セットを見渡せる場所でリハが始まるのを待っていた。
半歩ほど近寄れば、肩と肩が触れ合う距離。私の心臓は、色々な意味で騒がしい。
人の気も知らないで隣に立つ万理は、私の顔をじぃっと見つめた。
肌に突き刺さるような視線を浴びながら、私は必死で前だけを見る。まさか、顔を突き合わせるわけにはいかない。横顔だけでも、かなり際どい気はするが…
「………」
『ど、どうかされましたか』
「あ、すみません…つい。
そんな お顔をされていたんですね。壮五くんが格好良いって誉め殺すわけだ。イケメンですね!」
『バ…大神さんも、イケメンですよ』
「あはは。そうですかね?ありがとうございます!」
あぁ。懐かしい、彼の笑い声。
どうしようもなく、顔を横に向けたい衝動に駆られる。
貴方が今、浮かべているであろう笑顔も、10年前と変わらないのだろうか。
あの時と、同じ顔で笑っているのだろうか。