第74章 高校生の時の、俺の彼女
「はぁ…
えっと。告白したのは俺からで、付き合った期間は半年弱。別れた理由は…、彼女が俺の前から姿を消したから。
これで満足かな、環くん?」
「ふぅーん…
姿を消したって、サヨナラとかもなし?」
「そうだよ」
「……あ!もしかしてバンちゃん、フラれたってこと!?」
「た、環くん!!」
「はは。君、千とは違った方向から人を殴り付けるなぁ」
堪らず苦笑いを浮かべる。そんな俺の心境を知ってか知らずか、いや…きっと、知らないで 環は次なる質問をぶつけてくる。
「あ、あのさ…
ちゅーとか …した?」
「たっ、環くん!!その質問は流石にっ…
……し、したんですか?」
「壮五くんまで…」
きっと俺は今、苦笑いを通り越して、呆れ笑いをしている事だろう。
しかし。俺が彼女へと続く道への大きな一歩を踏み出せたのは、彼らのおかげだ。たとえ不躾な質問だったとしても、答えてやるのが義理だろう。
「…俺も、若かったから。その一歩が、踏み出せなかったんだよね」
「……っし!!」
「おいおい環くん?そのガッツポーズが意味するところは?」
「ふふ。万理さん、学生時代は純朴だったんですね」
「君は、今の俺の何を知ってるのかなぁ?」俺は今でも純朴のつもりだ
俺は、手をパンパンと打ち鳴らす。
「ほら、この話はこの辺りでお終い!もう、御礼分の質問には十分答えただろう?」
「あーー待って待って!!最後にいっこ!後いっこだけ!」
「仕方ないな、本当に最後だからね」
環は、途端に真剣な表情へと変わる。そして、何故か悲痛な表情で 最後の質問とやらを繰り出した。
「バンちゃんは、まだ…好き?
今でも、Lioのこと…好き?」
「………それは」
俺が口を開こうとした時、楽屋の扉がノックされる。
「失礼します!MEZZO"さん、衣装合わせをお願いしてもいいですか?」
「あ、はい。すぐにそちらへ伺います」
「よろしくお願いしまーす」
呼びに来てくれたスタッフに向かって、笑顔でそう返した。
そして、壮五と環へ向き直る。
「ほら、行こうか2人とも。
お仕事ですよ。今日も、張り切って行きましょう!」
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