第74章 高校生の時の、俺の彼女
「本名は、中崎エリさんというんですね…っ!わぁ、本当に感激です!謎に包まれた彼女を知ってる人に会えるなんて!
あの、どうしてLioは、メジャーデビュー目前で姿を消したんですか?」
「……さぁ?」
「えっと…じゃあ、今はどこで何をされているんでしょう!」
「はは。俺の方が知りたいよ」
「……バンちゃん、ほんとにえりりん、じゃなかった!Lioと付き合ってたん?恋人だったのに、なーんも知らねぇとか、へんなのー」
「環くん!そんな言い方、万理さんに失礼だろう!
もしかしたら、恋人だったんだって思い込んじゃうほどLioの事が好きなのかもしれないじゃないか!」
「ちょっ、壮五くんの方が俺の胸をえぐってるの気付いて?!」
「あっ、すみません…つい、興奮してしまって」
壮五は俺を質問責めにするほど盛り上がっていたが、環は何故か しらっとしていた。
と、いうより 明らかに拗ねている。つんと唇をとんがらせ、こちらを見ずに話す。
しかし。このままいくと俺は、妄想癖のあるヤバイ男認定されてしまう。それだけは回避しなくては。
俺は、閉じていたパソコンを開く。そして、あの曲を再生する。
そう。彼女が俺に残してくれた曲。
“ dramatic ” の原曲だ。
「あ!なんだ、やっぱり万理さんもCD持ってたんで」
「そーちゃん、静かに!
これ……そーちゃんのくれたライブ音源と、違う…」
「……そう。これはね、エリがLioとしてインディーズデビューする、もっともっと前から 存在していた歌だ。
俺の、大切な…思い出の曲」