第73章 《閑話》とある社長の気まぐれ
「そうか。じゃあお前はもう既にコースを回り終えたというわけだな。
ならば帰れ!」
「ひどいっ!!
うぅ、春人ちゃーん!パパがこんなに可愛いモモちゃんの事をイジメるよ!助けて〜」
泣き真似をして、私の膝に抱き付いてきた彼の頭を撫でる。
『社長、こんなに小さい子をいじめるのは感心しません』
「誰が小さい子だ!成人して数年経つ立派な大人だろう!」
「えへへ、立派だなんてそんな」照れちゃう
「褒めてない!!」
凄い…!百の手にかかれば、気不味さも尻尾を巻いて逃げで出してしまうようだ。
社長のストレスゲージがじりじり上昇している感は否めないが、とにかく見事なお点前だ。
『百さんは凄いですね…!尊敬出来ます』
「ん??なにが??」
首を傾げた百は、すぐ様くるりと社長の方へと向き直る。
「でも珍しい組み合わせだよね。春人ちゃんとならゴルフするんだ?パパ、オレがいくら誘っても付き合ってくれなかったじゃん!
ねぇねぇ、オレも一緒に周ってもいいでしょ?」
「お前はうるさいから駄目だ」
「えぇ!ちょ、即答しないで!」
バッサリと切られてしまう百。しかし、こんなにも簡単に救世主様を失うわけにはいかない。ここは私の出番だろう。
『社長、百さんも連れて行ってあげましょう』
「さっすが春人ちゃん、話が分かる!」
『このままでは彼は、小学生男児にも負けないくらいの駄々っ子と化しますよ。
まずは、この場で人目も憚らず地べたに転がります。そして長い手足を盛大にバタバタと振り乱し、極め付けに こちらの鼓膜が破れんばかりの大声で泣き喚く事でしょう』
「まかせて!土下座よりハードル高いけど、なんとかやってみる!」
「……それは…」
「『………』」ごくり
「見たくないな」
救世主様、参加決定。