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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第10章 脳みそ溶けるかと思ったぐらいなんだから!




少しすると、龍之介から小さな寝息が聞こえてきた。


「…龍、寝たの?」

「昨日寝れてないって言ってたからな」


2人は、龍之介が起きないように小声で話す。
私はちらりと腕時計を確認した。


『…40分ほど、余裕があります。お2人は、時間になったら直接ワゴンまで来て下さい』


私も小声でそう言うと、彼らは頷いた後 ゆっくりとこの部屋から出ていった。


瞳は閉じたままで、彼の唇が微かに動く。


「………ごめん、…ごめん ね」

『!』


一瞬 彼が起きてしまったのかと思ったが、動き出す気配がない。どうやら今のは寝言のようだ。


人一倍優しい彼は、今回の事で相当心を痛めているのだろう。

ファンに対してもそうだろうが、自分の為に動いているスタッフや、あとは多分 私に対しても 申し訳ない気持ちでいっぱいのはずだ。

そんな優しい彼が、傷付く事などあってはならない。


『…大丈夫、…大丈夫だよ。貴方は何も、悪くないんだから。
絶対に私が…守ってあげる』


私は、飴色に輝くその茶色い髪を 優しく優しく撫でる。


「…………」



40分後、彼を起こして 共に駐車場へと向かう。


「なんか、凄く寝ちゃってたみたいだ。重かったでしょ。ごめんね」

『いえ、少しでも休めて良かったです』


些かではあるが、くまも薄くなった。マッサージが良かったか 彼が少しだけでも睡眠が取れたからなのか、どちらが効いたかは分からないが。


「ありがとう。なんだか信じられないぐらい気持ち良くて…。男に膝枕されてるなんて、思えないくらいに」


はは、と照れ笑いする龍之介。彼は一体どういう意図があってこんな事を口にするのか。いや、多分何も考えていないのだろう。
そんな言い方をされると、ついこちらも照れてしまいそうになるではないか。

とにかく、すぐさまスタジオへ向かう。

ワゴンの前には既に天と楽が待っていた。3人を乗せて、目的地へと移動を始めた。

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