第72章 綺麗じゃない愛だって構わない
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筋肉質の硬い脚が、秘部を押し上げてくる。わざとなのか、たまたまの行動かは分からないが。
そしてその脚で、下肢を割られる。
長くて綺麗で、でも逞しい彼の指。そんな指が、ショーツの隙間を縫い、広げられた秘部に突き立てられる。途端に、ぬるついた肉が絡んだ。
『んっ…く、はっ…あぁっ!』
龍之介は、私の唇や頬にキスを落としながら、中の感触を味わっているようだった。
「はぁ…凄く、気持ちいい…」
『んっ…、え?私が…気持ち良く、してもらってるのに?
龍も…気持ちいいの? ひ、ぁっ』
龍之介は、指の数を増やして続ける。
「君に触れてるだけで、凄く気持ち良いんだ。もし、ここに、俺が入ったらって考えると…怖くなるくらい」
『怖く、ないよっ…?私は、ここにいるから。すぐ側に、いるから』
中で指を くの字に曲げて、撫でるように肉壁の上部分を刺激する。
「俺が、獣みたいに 狂ってしまっても?エリは、怖くない?」
『んっ…怖く、ない。その時は、私達…一緒に、狂ってしまえばいい』
「…そうだね。そうなるのも、悪くない。君と、2人でなら」
龍之介は言って、弱々しい笑顔の私を見下ろした。そして手を取り、自分の口元へ持ってゆく。
指先に、彼の柔らかな唇が触れた。
「…エリ、君の中に 入ってもいいか?」
彼は…分かっているのだろうか。私の目に、いま自分がどんなふうに映っているのか。
艶めかしく美しく光る瞳は、まるでタイガーアイのようだ。そんな宝石みたいな瞳で こちらを睨むように見下ろし。
しっとり濡れた唇に、私の指先を押し当てる彼は…
なんて、妖艶で淫らで官能的なのだろう。
こんなの、狡い。強制的に、欲情させられるに決まっている。