第72章 綺麗じゃない愛だって構わない
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私達は 顔を斜めに傾け、より深く舌を絡め合う。とても上品とは言えないキスをしながら、龍之介の手は私の乳房を包み込んだ。
そこそこの大きさのバストだと自負していたが、彼の大きな手にかかれば、それも難なく収まってしまう。
乳頭を指で挟まれ、やわやわと膨らみを揉みしだかれれば、口からは蕩けた声が漏れてしまう。しかしそれは、塞がれた唇で くぐもった声へと変わる。
『ん…!んんっ、…っ』
「…ん…ッ。…っちゅ」
まるで永遠に続くかと思われたキスが終わる。久しぶりに距離を取った、私達の唇。まだ離れたくないとばかりに、透明な糸が つぅと引いて、2人の唇を繋いでいた。
彼の口元から伸びた 切なげに光る糸が、ひどく卑猥に見えた。
それを拭う事もせず、龍之介は私の首筋に顔を埋めた。柔らかい肉を、小さく吸い上げる。
『んっ、龍…っ、あ…駄目、跡は 付けちゃ、駄目』
私は、龍之介の頭をぎゅっと掴んで訴える。彼は ぴたりと動きを止め、こちらを見やった。
そのギラついた瞳は、私の心臓を鷲掴みにする。
普段見る事の出来ない彼の表情に、さきほどから 私だけがドキドキさせられているようだ。
『…見えない、ところなら…付けても、いいよ』
それを聞くなり、彼は唇を下へ下へと滑らせる。そして右胸を揉みながら、左胸の柔らかい箇所を吸い上げる。
『んっ…!』
一瞬だけ、チクリとした痛みが広がる。しかし、そんな痛みですら愛おしさに変わってゆく。
胸部だけで、もう4箇所も跡を残した。私はただ彼の頭を抱えて、好きなようにさせてやる。
すると。不意を打たれて、ちゅっと胸の頂きを吸い上げられる。
『っあ、ん!』
とっくに硬くなっていたそこは、突如与えられた刺激で、より尖りを見せた。