第71章 ピュイっ!
「お前な!びっくりするだろ!本当にこの吹雪の中、外にいると思っちまったじゃねぇか!」
『リアリティがあったでしょう?愛しのプロデューサーが凍死するかもドッキリ。ドキドキしました?』
「洒落になってない」
楽だけでなく、天もお怒りのようだ…。ほっぺたを、ぎっとつねられてしまう。
『い、いひゃいです…すみませんでした。
でも、皆さんのリアクションは素晴らしかったですよ。特に龍の、切羽詰まった感じの台詞が素晴らしかった』
「で?キミを満足させるリアクションをした、その龍はどこにいるの?」
「ん?そういえば、さっきから龍の姿がねぇな…」
私達は、揃って辺りをキョロキョロと見回した。しかし、いくら確認してもそこに龍之介の姿はない。
辺りを包んだ不穏な雰囲気を振り払うように、私は努めて明るく言葉を発する。
『…またまた!ドッキリ返しですか?その手には乗りませんよ』
「龍の靴と、ガウンがないけど…」
「まさかあいつ…!外に」
『う、嘘ですよね』
不穏な雰囲気は、はっきりとした緊張に変わる。
『と、とりあえず、龍に電話を』
「もう携帯にかけてます!
でも、呼び出し音すら鳴らないんっすよ!!」
私の背中に嫌な汗が つぅと流れる。
『…もしかすると、極限まで携帯が冷えてるから電源が落ちているのかもしれません』
「ってことは、やっぱり あいつ…!」
「いま、外にいる…ってこと?」
想像出来うる中でも最悪のケースが、いま 現実のものとなろうとしていた。