第71章 ピュイっ!
【side スタッフ】
俺と春人の作戦会議の後、数時間が経過した。
外は、予報通りの荒れ模様。当然 この辺りには街灯など無いから、日が落ちてしまえば真っ暗闇だ。
ただ、嵐みたいな吹雪がごうごうと音を立てて、このコテージを襲っていた。
楽はおもむろに窓に近付き、曇ったガラスを撫でた。透明さを取り戻した箇所に顔を近付けて、外を覗く。
「すげぇな…。こんな吹雪、見た事ねぇよ」
「色んなところにロケで行ったけど、たしかにここまでの大雪は経験した事ないよね…」
楽の後ろから、龍之介も同じように窓から景色を見つめて言った。
そんな様子を近くで見ていた俺の元に、天が歩み寄る。
「あの、さっきからプロデューサーの姿が見当たらないんです。どこへ行ったか知ってますか?」
来た!
俺は緊張から、ごくりと唾を吞み下す。
窓の外へ意識を向けていた2人も、こちらの会話へ耳を傾けた。
「じ、実は…
さっきまで、俺と春人さん、ここから少し離れた広場で雪遊びしてたんです」
「……雪遊び…」
天は、目を丸くした。
そのまま俺は、嘘の説明を続けようとする。しかし、楽と龍之介が言葉を遮った。
「楽しそうですね!俺も参加したかったなぁ。
雪遊びって、どんな事をしたんですか?」
「え?えーっと…雪合戦、とか?」
「雪合戦を…2人で?なんだよ、俺達も誘えよ」
「いや、はは…次の機会があれば…」
「ちょっと!楽、龍、少し黙って。
それで?その後、彼はどうしたんですか」
軌道修正してくれた天に、心の中で礼を言ってから言葉を続ける。