第71章 ピュイっ!
「お疲れ様です。遅かったっすね」
私達がコテージに到着すると、先に着いていたカメラスタッフが出迎えてくれた。
彼が暖炉に火を入れてくれていたので、TRIGGERメンバーにはそちらへ移動してもらう。冷えた体をしっかりと温めてもらわなければならない。
『えぇ、少し寄り道を』
「雪国を満喫してますねぇ。
あ。そういえば、天気予報見ました?」
『一昨日くらいに確認しましたよ』
「いやそれがですね!さっき最新の見たら、予報ガラっと変わってましたよ」
『そうなんですか?』
私は急いでスマホで、この辺りの天気を調べ直す。一昨日に確認した際は、普通に晴れだった。
しかし最新の情報によると、これから吹雪くとされていた。それも、かなり激しく荒れるらしい…。山の天気は変わりやすいとは、よく言ったものだ。
ここら一帯が大雪に見舞われるのは、あっても年に数回。厩舎の主人も そう言っていたのだが。
それにしても、冬本番でもない この時期に吹雪とは。かなり珍しいのではないだろうか。
「撮影が終わった後で良かったっすねー」
『………』
「??
春人さん?どうかしました?黙りこくっちゃって」
『いえ、少し…良い考えが、浮かんだものですから』
「うひゃー。悪い顔してんなぁ」
私は最近、TRIGGERの面々にドッキリを仕掛ける事がある。無論、本当のドッキリ企画に備えてだ。リアクションのパターンを増やしてもらったり、咄嗟のことに固まってしまうリスクを減らして欲しいが為。
しかし彼ら曰く、私の仕掛けるドッキリにはセンスが無いらしい。平たく言えば、不評なのだ。物凄く。
そんな事は御構い無しに、私の頭にはまた新たなアイデアが浮かんだのだった。
『ちょっと、貴方にも協力して欲しい事があるのですが』にや
「あんた…よくあの3人に嫌われませんよね…」
そう。いつもの、軽い悪戯のつもりだった。
それがまさか、あんな事件に繋がってしまうとは。
まさか、私と彼が…命の危機にまで瀕してしまうなど。この時はまだ、知る由もなかったのである。