第69章 お前さんのデート相手はここで待ってますよー
翌日。
朝も早くから大忙しだ。とにかく、やる事が多い。
訪問着として失礼のない、振袖のレンタル。そして着付けをしてくれる店を訪ねる。
それから手土産のカステラを手に入れなければ。人気店の人気商品の為、行列に並ぶ必要があった。
それらの全てをこなし、大和との待ち合わせ場所へ向かう。彼とは、千葉家別邸の最寄駅で落ち合う手筈となっていた。
急いで捕まえたタクシーに乗り込んだのだが、現地へ到着するのは約束の時間ギリギリになってしまいそうだ。
遅刻はないと思うが、念の為 大和には一通メッセージを送っておこう。
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「…… “ 着くのギリギリになるかも ” か。
やっぱ準備に手間取ってんのか?まぁ そりゃそうか。誘ったの、昨日の今日だし。あいつには、悪い事しちまったな。
とりあえず返信…」
《 OK。俺もだから大丈夫。道中 気をつけて 》
「なんて。もう着いてんだけどな。
エリが来るまで、あと30分ってとこか。
寒いし、茶店にでも入…
いや。やっぱこのまま待ってるか」
(こうやって、あいつ待ってるのでさえ楽しいとか…
あれ。こんなふうに思っちまう俺って、もしかしてちょっときもい?)