第68章 あなた…意外と馬鹿なんですね
『ぅ…、私は一体なにを…』
「良かった…!春人くん、正気に戻ってくれたんだね」
「お、俺達は…助かったのか!」
「うぅ…っ、ありがとう!ありがとう!デカくてガタイの良いあんた…!」
私は、酷く痛む頭を押さえて目を瞑った。
残った2人の男達は、まるで龍之介を拝むみたいに手を合わせていた。
そんな彼らに向け、龍之介は腰に手を当て説教する。
「元はと言えば、君達がいけなかったと分かってるのか?春人くんに怪我をさせたのもそうだし、子供達の遊び場を奪ったことも。
ほら。悪いと思っているなら、ちゃんと謝るんだ!」
「ご、ごめんなさい!もうわざとファールもしないし、させません!」
『はぁ……』
私に謝罪した後、男達は子供達に向き合った。
私が退場させた3人も一緒になって、少年達に頭を下げる。
「悪かったな…」
「もうこんな事はやめるから、許してくれ」
「お兄ちゃん達…。うん!分かってくれたら、もういいんだ!」
少年が私の服を、くん と下へ引っ張った。
「お姉ちゃんも、ありがとう!」
『お兄ちゃんです。
良かったですね。これからは安心してフットサルが出来ますよ』
「うん!でも お兄ちゃんは、もうちょっと真面目にプレーした方がいいと思うよ!」
『……いや、もう二度と…フットサルはごめんですよ』
拍手や声援が、辺りを包んでいた。誰もが望んでいた平和的解決が目の前で実現したのだ。
皆、最高潮に盛り上がっていた。