第68章 あなた…意外と馬鹿なんですね
「春人ちゃんがマークしてた人、抜けちゃったね」
「これで春人はフリー。動きたい放題だな!積極的にパス出してくよ」
『パスはいらないです。
あと、私達がディフェンス側に回る際は…私が、あの男をマークしても良いですか?』
私は 敵チームの中の、1人の男を指差した。
そう。私の次なる…ターゲットである。
何故、その男を選んだのか。決め手は、ただの勘である。強いて言うならそいつが1番…クズっぽい顔をしていたからだ。
どうせヤるなら、クズの方がいい。
「へぇ。一丁前に俺をマークしようってか?このド素人が」
『……』
早速、その男と対峙するタイミングがやって来た。下卑た笑みを浮かべ、私を挑発してくる。
『貴方は…果たして、どちら側の人間なのでしょうね』
「は?」
『ファールを故意的に狙うような輩なのか。それとも、正々堂々プレーを』
「お前……隙だらけだな!」
話している途中。男は、私の足元目掛けて蹴りを入れて来た。しかし、その動きを予測していた私は難なく躱す。
「っ!」
(なっ…!まさかこいつ!いま見せた隙はワザとかっ!?ッチ!ファールを誘われ)
『ふふふ、姑息な手段を取らせたら私の右に出る者はいませんよ。こんなのは、イージーゲームです』
私は、目にも留まらぬスピードで男の延髄に手刀を落とした。
「ガッ!?」
『うわぁー、どうしたんですかー?大丈夫ですかー?』
パタリと倒れた男を見て、驚いたふりをする。すると、男のチームメイトが駆け寄ってくる。
「なっ、どうしたんだ!おい!!」
「駄目だ!泡吹いて気絶してる!」
『あぁ、本当ですねー。私の見立てでは、あと20分くらいは目を覚まさないと思いますよー』
「何だその具体的な数字は!!」