第67章 左手は添えるだけ
「じゃあさ、こういうのはどう?」
爽やかな笑顔を浮かべ、そう提言したのは龍之介だ。
「ここはプレイヤーらしく、フットサルで勝負をつけるっていうのは」
「龍!いいねそれ!そういう展開待ってましたー!」
「オレも賛成です!さすがエロエロビースト!!爽やかなアイデア出してんのにエロい!」
「褒めてないよね!?」
また、私と一織は顔を向き合わせる。
殴り合いの大乱闘になるよりかは、スポーツ合戦の方が何百倍もましだろう。
軽く頷き合った後、私達はそちらへ一気に舵を切る。
「はぁ?なんで俺らが、んなもんに付き合わなきゃなんねぇん」
「アイドル風情に、負けるのが怖いのですか?」
「……なんだと?」
『そりゃ、情け無いですよね。忙しい合間に、趣味程度でしかプレイしていない彼らに負けてしまったら』
私達は、出来るだけ相手が不快になるような笑顔を浮かべて見せた。
安くて見え透いた挑発だが、きっと彼らは乗ってくる。だって、顔に書いてあるから。
俺達は 低脳で、ベタ展開が大好物で、操りやすい男達です。と。
「そこまで言うなら、受けてやる。
後悔すんなよ?もう二度と、他人のいざこざに首突っ込めねぇようにしてやるからよ」
「では、試合成立ということで。
私達が勝てば、このピッチは彼らに明け渡して下さいね。
あなた方が勝てば、自由に使って下さい」
『決まったなら、早く始めましょう。各チーム、メンバーの選出が済み次第ピッチに集合で。
双方、それでよろしいですか?』
私が2組の間で顔を左右に振ると、全員が気合十分な顔で頷いた。