第67章 左手は添えるだけ
「どっかで見たツラばっか、ずらっと並べやがって。ぐちゃぐちゃうっせんだよ!さっさと消えろや!」
不良の怒声に、少年達はビクついた。それを見た 大 中 小の 小の人が、一歩前へと歩み出る。
「さっきから聞いてりゃ。どっかで見た どっかで見たって…失礼なヤツらだなあ!いいかよく聞きやがれ!
この人は、アイドル界の元気印!Re:valeの百さん!
こっちの人はアイドル界のエロ代表!TRIGGERの十龍之介さん!
そんでオレが…
男性アイドル界いちのお料理好き!IDOLiSH7の和泉三月だバカヤロウ!」
『………貴方のお兄さんは、些か自己評価が低いのでは?』
「それは常々、私も言い聞かせてはいるんですが」
いや、そんな事より。相手にわざわざ正体を明かしてしまったのは頂けない。それも、あんなに事細かに…。
こちらの仔細が知れていない方が、何かと都合が良かったのだが。
「えっへへ。元気印だなんて、照れちゃうなぁ」
「あ…あの、俺って実は世間で思われてるほどエロくないっていうか、割と普通の性欲しか持ち合わせてないっていうか」
「あ、そうだ。あんたの彼女さん、だっけ?
どのグループの事を好きっつってくれてんのか知んねぇけど、お礼言っといてな」
「な…なんだこいつら…っ!照れたり言い訳したり感謝したり!!ふざけてんのか!!」
いや。彼らは至って大真面目なのである。
しかし不良達は、揶揄われていると感じたのだろう。まぁ無理もない。とにかく額に青筋を浮かべて、怒りのボールテージを上げまくっていた。