第67章 左手は添えるだけ
「じゃーーん!正義の味方☆モモちゃん参っ上!皆んな、お待たせ!」
待ってない。待っていないのだが。
腰に両手を当てがい、ドンと胸を張る百が そこにはいた。両隣には、大きい影と小さい影。3人が、大 中 小 と並んでいる。
私と一織は、2人して こめかみに手をやって俯いた。これから起こるのであろう、面倒な展開を感じ取って。
「…なんだぁ、お前ら。なんかどっかで見た事ある顔ばっかだな」
「あ、俺知ってる!こいつらアイドルじゃね?ほら、結構 有名な奴ら。彼女が好きだって言ってた記憶あるわ」
バレた。というか、ノー変装でバレない訳がない。これでますます、荒事を起こす訳には行かなくなった。
「ちょうど良かったです。百さん。この子達が、フットサルをする場所を探しています。良ければ隣で一緒にプレイしてあげてもらえませんか」
『一織さんの言う通りです。ここはスポーツマンシップに則り、楽しく、仲良く、穏便に、一緒にプレイをし』
「え?でもさ、この子達はちゃんと予約をしたんだよね?なら、堂々とここを使えばいいじゃん!」
「!!
そうだよ!ボク達、何も悪い事してないんだ!」
「あっはは。分かってるよー!大丈夫。お兄さん達にまっかせなさーい!」
私と一織の目論見は、見事 失敗に終わった。どうやら、もう軌道修正かけるしかないらしい。
さきほど一織が言っていた。世の中には、正論がまかり通るシーンと、通らないシーンがあると。
ここからは、作戦変更だ。
面倒事の回避に失敗したなら。膨大な労力を使ってでも、全力で正面からぶつかって、正論をまかり通すとしよう。