第66章 しちゃうか〜結婚!
「は…!私は一体なにを…」
「一織すげぇ楽しそうだったぜ?お前ら、意外と相性いいのかもな」
「あ、たしかに。2人とも敬語キャラだしね」
「いやー!和泉兄弟に春人ちゃんを取られちゃうよー!」
我に返って、まともになった一織。彼がここまで下らない漫才に付き合ってくれるとは思ってもみなかった。
サービス精神が旺盛なのは、兄譲りなのだろうか。
「え?取っていいんですか?中崎さんがIDOLiSH7のプロデューサーに転身して下さるなら、全力で奪いに行きますけど」
「お!いいぞ一織!お前の本気を見せてやれ!」
「えーっと…2人とも?さっきから龍が泣きそうな顔しちゃってるからね?TRIGGERから春人ちゃん奪う算段はやめたげて?良い子だから」
まとも…に、戻っているはずなのだが。もはや どこまでが冗談で、どこからが本気なのか分からない。
その時。コートの中央に立った、審判らしき男がピー!と笛を吹く。どうやら、ようやくゲームが再開されるらしい。
意気揚々と、後半戦に向けて準備を整え始める3人。そんな姿を、試合に参加しない私と一織は見つめていた。
そして、並んでベンチに腰掛ける。まだ人が集まっていない、だだっ広いコートに揃って視線を投げていた。
彼が、おもむろに口を開いた。
「意外でした」
『私がここにいる事が?』
「はい。十さんや兄さんが、百さん主催の運動部に参加している事は知っていましたが。
あなた、こういう類の物に参加するタイプには見えなかったので」