第66章 しちゃうか〜結婚!
「十さんは料理得意だし、百さんが壊滅的なのは知ってますけど」
「うぅ、もう言わないでよ…」
悲しそうに、恥ずかしそうに泣き真似をする百。そんな彼の隣で、三月は私に向き直る。
「春人は料理しないのか?なんか、あんた向いてそうじゃん」
『そうですね…まぁ、出来なくもない。といった感じでしょうか』
どう答えるべきか思考していると、私より先に百と龍之介の2人が口を開いた。
「春人ちゃん、料理出来るでしょ!前に、オレとユキに手料理ふるまってくれたじゃん!」
「そ、そうだよ。自分でお弁当作ってた事もあったし…」
嬉々として報告する百に対し、龍之介は目が泳いでいる。対照的な2人に、三月は首を傾げて問い掛ける。
「どんな料理だったんですか?」
「フレンチフルコース!」
「えのきポン酢…」
「いや振れ幅すげぇ!!」
どちらも私が作った物には違いないが。たしかに三月の言う通り、その2品の間には尋常ではない差がある。
「春人くんフレンチなんて作れたのか!」
「あははは!エノキ…っ、エノキポン酢のお弁当って!何それ超 面白い!ねぇお願い、今度オレにも作ってー!」
驚嘆の声を上げる龍之介。腹を抱え足をバタつかせて笑う百。そこへ、冷静に分析する一織が加わる。
「なるほど。お2人の話から鑑みるに、中崎さんはおそらく、レシピがあれば難しい料理を作る事が出来る。逆に、レシピがないと凝った料理は作る事が出来ない。
そんなところでしょうか」
『ずばり、その通りです。さすがパーフェクト高校生。凄いですね』
「恐れ入ります」
「いやレシピがあればフレンチフルコース使っちまう あんたの方がすげぇよ!!」