第66章 しちゃうか〜結婚!
その時。すっと前から腕が伸びてきて、私の手からおにぎりが消える。そして、半分の大きさになった おにぎりが、手の中に戻された。
「春人くん。半分こしよう?俺も、環くんが握ったおにぎりがどんな味が気になるから」
『龍…』
龍之介が、プリンおにぎりを半分引き取ってくれたのであった。
「龍ちゃんってば…!悔しいけど、イケメン!」
『そうなんです。龍はイケメンなんですよ』
「え、いやいや俺なんて全然…!どちらかというと、TRIGGERのイケメン担当は楽や天で」
「間違いなく全員イケメンですけど、十さんはエロ担当ですもんね!」
「う…エロくもないんだけどなぁ…」
とほほ、と軽く下を向いた龍之介。そのまま例のおにぎりを口に入れる。
すぐに、うっ!と口元を押さえ、目を見開いた。
「こ、これは…なんというか…は、初めて食べる味だ!」
「そ、それは…!食レポの時、どうしても上手くコメントが出て来ない時の常套句ではないですか!」
つまりは、とてつもなく不味いという事である。
それでも私と龍之介は、2人で協力しておにぎりを完食したのであった。これで環もきっと、報われる事だろう。
しかし、このおにぎりを受け取った私には責任がある。それは、この悪魔のおにぎりが二度と世に再臨しないよう、封印するという責任だ。
次の犠牲者を出さないよう、環にはよく言って聞かせなければ。
私は、彼にも伝わるように文面を熟考した後、メッセージを送った。
その後は、皆んなで三月の美味しいお弁当を食べ進めた。勿論、こちらも綺麗に完食である。
遅れてやって来た一織も、お腹がいっぱいになった様子。私達5人は、三月に感謝をしつつご馳走様を言った。
午後のプレー再開までは、あと少し時間があるようだ。