第66章 しちゃうか〜結婚!
「一織じゃん!なになに、一織もサッカーしに来てくれたの!?」
「百さん、こんにちは。
いえ、私はただ…こちらに皆さんが集まっていると兄さんに聞いたので。様子を見に、少し寄らせてもらっただけです」
『お兄さんが、楽しく場に馴染めているか見に来たんですか?それは、お兄さん思いの優しくて出来た弟さんですね』
「おう!自慢の弟だぜ!」
「兄さん、からかわれてるんですよ」気付いて
三月は座り位置を少しずらし、私と自分の間に弟を座らせた。そして、昼食をまだ食べていないという一織にも、おかずの乗った小皿を手渡す。
制服姿の彼を見て、龍之介は笑顔で語り掛ける。
「一織くんは、学校だったんだ?」
「はい、午前だけ。冬季休暇中なのですが、登校日でしたので」
『四葉さんは、一緒ではないんですね』
「一緒に来させてもらう予定だったのですが…あの人、授業中ずっと居眠りをしていたので、帰り際 担任に捕まりました。おそらく、ちょっとやそっとのお説教では解放してもらえないでしょうね」
一織は、湯気の立つ紙コップの中身を啜って言った。
そうか。環も来る予定をしていたのか。事前に連絡がなかったのは、きっと私を驚かせたかったからだろう。そう考えると、自業自得とはいえ、担任の先生を ほんの少し憎らしく思ってしまったりした。
「あ、そうだ。米だよ米。
はい、おにぎりも沢山あるんで。どんどん食べて下さいね」
「やったー!タラコある?タラコ!」
「勿論!ありますよ」
どんな具材でも構わない私は、沢山のおにぎりの山に手を伸ばす。しかし、三月がそれを制した。
「ストップ。春人のは、コレ」
『…なんです?このボコボコでグチャグチャの、でかくて白い塊は』
「ギリギリでおにぎりの存在意義を保っている物体Xです」
「こら一織!春人の不安煽るような事言うなー。
えっと、これな。実は環があんたの為に握ったんだよ」