第66章 しちゃうか〜結婚!
その後、少し遅めの昼食タイムとなる。皆、それぞれ仲の良いグループで集まって、持ち寄った弁当や買って来た物を広げていた。
私達はと言うと…それはそれは豪華な御重が目の前に、ドン!と鎮座していた。
なんと、和泉三月 特製のお弁当である。料理上手な彼のお手製弁当を、私は密かに楽しみにしていた。
「約束通り大量に作ったんで、腹一杯食っちゃって下さい!」
三月が言って蓋を開けると、美味しそうなおかず達が綺麗にびっちりと並んでいた。唐揚げやミートボール、厚焼き卵に焼かれた塩鮭。そして色鮮やかなプチトマトやブロッコリーが、完璧に配置されていた。
「ほ、宝石箱や〜〜!」
「あはは!百さんが、感激のあまり関西弁になっちゃってるね」
「そんなに喜んでもらえたら、作った甲斐ありますよ」
『こんな美しいお弁当、見た事あらへんわぁ』
「春人がボケるほど!?」びっくりした!
早速、取り分ける為に割り箸を割る三月。あまりの手際の良さに、手伝いを申し出るのも憚られた。
4人でいただきますをして、手元に来た皿からおかずを摘む。
『こ、これは……美味しい!!』
「ん〜〜!相変わらず三月の料理は美味だねぇ」
「本当に美味しいよ。
あ、このミートボール 中にウズラの卵が入ってる」
『こっちのウィンナーは、タコじゃなくてウサギの形にカットされているんですよ』
私と龍之介は、互いにおかずを見せ合った。そんな私達の隣で、笑いながら三月は教えてくれる。
「あぁ、そういうビックリ要素とかを密かに盛り込んだら、喜ぶ奴がいるんで。環とか陸とかが、はしゃいでくれるの見るのが好きなんですよね」
「誰かに喜んで欲しくて工夫するのが、三月くんらしいね」
「ははっ、そうですかね?
そう言えば昔は一織も、めちゃめちゃ はしゃいでくれたんだけどなぁ。熊さんパンケーキとか、ウサギさんウィンナーとか」
『へぇ、熊さんや、ウサギさんで喜ぶなんて。随分と可愛らしいですね』
言ってから唐揚げの続きを齧ると、突然 上から声が降ってきた。
「誰が可愛らしいですって?」