第66章 しちゃうか〜結婚!
百と取り留めのない会話をしていたのだが、ついに彼にもお声がかかる。まぁ当然の成り行きだろう。人気者の彼を、私1人が独占している方が不自然だ。
若干、寂しそうに私の元を離れた百。1人になった私は、改めて周りを見渡した。
ここへ集まった人数は、計30くらいだろうか。スポーツウェアに身を包んだ者がほとんどだが、中には私のようにフォーマルな服装の者も少なくない。
単にスポーツ観戦をしに来たのか、はたまた 何か別の理由があって出向いているのか…。それは私の知るところではない。
そして、驚いたのが ここの環境だ。
サッカーと聞いて、勝手に屋外をイメージしていたのだが。なんと蓋を開けてみれば室内だった。
百が、市の運営する体育館を予約するのが通例らしい。
彼によると、フットサルはサッカーと違い、屋内でプレイする事も多いのだとか。
外だろうが中だろうが こだわりはないが、よくよく考えると、室内で良かった。私を含め、プレイヤーではない観戦者は体を動かさない。もし屋外という状況だったなら、きっと凍えていただろうから。
やがて、誰からともなくピッチの中心に人が集まって来る。その中には、百と龍之介と三月の姿もあった。
試合が始まるのだろう。
フットサルは 5対5で行われる、サッカーに非常に似通ったスポーツだ。ルールは少し、サッカーよりも簡易化されているらしい。オフサイド等も省略される事がほとんどだそうだ。
5人は赤の腕章。また別の5人は青の腕章をそれぞれ付けた。赤チーム、青チームという事らしい。
ちなみに、3人は全員 赤チームに決まったようだ。
選手となった10人と 審判を務める人間以外は、私が座る観覧者席へと戻って来る。