第66章 しちゃうか〜結婚!
『色々な人がいますね』
「うん、気付いたら結構な大所帯になっちゃってた。それにね、龍が幹部をやってくれてるんだよ!」
『幹部……そういうのって、普通もう少し暇のある人間がやるものでは?』
「だーって龍、気が利くんだもん!」
しかし、龍之介も楽しげに役目を引き受けているようだった。本人にやる気がある以上、私からは何も言うまい。
『若手から大御所まで、幅広い業界の人間が揃ってる。これだけ様々な人脈が集中していると、もし仮に大きな権力を持つ勢力が現れたとしても…十分 対抗出来るでしょうね』
「え?」
『そうですね… “ 現代の千葉サロン ” とでも名付けてみます?』
「ちょ、ちょっとちょっと春人ちゃん!」
百は、周りをキョロキョロと見渡した。そして、人差し指を立て 唇に当てて言う。
「物騒な事言わないでよ!全然全くもってそんなんじゃないから!スポーツ好きの人間が集まって出来た、ただの運動部なんだから!」
『まぁまぁそう言わないで。どうですか?龍ではなく私を幹部に据えて、この組織をもっと大きくしてみるというのは』
「もーー!だから組織とか言わないの!ほんとに普通の趣味の場なんだってば!」
『分かってます。冗談ですよ』半分くらいは
百は方頬を膨らませ 腰に両手を当て、ぷりぷりと怒った。
しかし。彼はそう思っているとしても、ここにいる人間達は同じ考えだろうか?
全員が全員そうじゃなくとも、きっと少なからず存在するはずだ。不自然に集った大きな権力にあやかりたいと思い、運動部に参加している者が。
プランクトンを狙う小魚。小魚を狙う中型魚。中型魚を狙う大型魚。
そんなふうにして、ここまで運動部は膨れ上がったのではないだろうか。
そして、その大型魚を狙って投網を打つ漁師こそ…この私である。
『ふふ、ふふふ…。もう、楽しみで楽しみで、仕方がありませんよ』
「わーぉ!どこからどう見ても、スポーツを楽しみに来たって顔じゃない!」