第66章 しちゃうか〜結婚!
『え?……えっ、』
「わっ、ちょ!エリっ、前!まえ!」
『春人です。いや、今は私の呼び方など些細な問題ですね』
「でも車の運転は些細な問題にしないで!」
携帯を凝視する私を見て、仰天する龍之介。車の進行方向に危うさを感じのであろう彼は、思わず助手席からハンドルを掴んだ。
『大丈夫です。私、少しくらいなら前を見ないで運転出来るという特技を持ってます』
「なんて危険な特技なんだ…」
龍之介は、私が再び前を向いたのを確認してからハンドルを離した。
『そんな事より、本当にそのメンバーが、3日後に集まるんですか?』
「え?あぁ、うん。確実に来られるって分かってるのは。まだ増えるかもしれないけど」
なんということでしょう。私のハンドルを持つ手は震えた。
その参加者リストに並んでいた名前は、とんでもなかった。アイドルだけに止まらず、俳優、タレントにモデル。有名ラビチューバーやラビスタグラマー。人気お笑い芸人にアスリート、さらには あの文化人まで…
確固たる顔触れだったのだ。
『……龍』
「どうしたの?」
『私…実は、ある病を抱えていて』
「えぇ!?病ってどんな!?」
『フットサルをしないと死んでしまう病です』
「どんな病気!」
『フットサルをしないと死んでしまう病気です』
「そのままだ!
な、なんだかよく分からないけど、君の命が助かるなら いくらでも付き合うよ!
えっと今から空いてるところは…スポーツッチャとか?」
『あぁ、今からではなく3日後がいいです』
「3日後に発病するんだ!」
ノリの良い龍之介は、こんな茶番にも永遠に付き合ってくれそうだ。
『まぁ冗談は置いておいて。
その3日後の運動部の活動に、出来れば私も参加させてもらいたいのですが』
「そんな事なら大歓迎だよ!きっと、百さんも喜ぶと思う!」