第9章 抱いて差し上げましょうか?
それは、以前から感じていた事。
事務所は龍之介の事を、エロ担当。セクシー路線で売り出したいようだが。彼はそれを良しとしているのだろうか?
龍之介は、その作られたキャラクターを 重荷に感じているのでは?
アイドルの心のケアも、私の仕事の内だ。今度それとなく龍之介に話を振ってみる事にしよう。
今からでも時間を作りたいところだが、あいにくこの後用事があるのだ。
「おい春人、今日こそは付き合えよ」
楽は、私を見据えて くいっとお猪口を煽る仕草をした。
さきのランキングの祝いに、飲みに付き合えという事らしいが。
『すみません。今日は用事があります。では、私はこれで』
「…抱かれたい男ランキング一位が振られた」
お疲れ様でした。と立ち去ろうとする私。
そして ぼそっと言った天の声に、楽の肩がビクっと震える。なんだか、少し楽が不憫に見えてきた…。
『あの、本当に今日は都合が悪くて…。その代わり、次は必ず』
「絶対だからな!」
何故、彼はここまで私に拘るのだろうか…。いまいちその胸中が理解出来ない。
私はポケットに手を入れ、バイクのキーの感触を確かめると。ドアノブに手をかけた。
「…相変わらず付き合い悪い奴。おい龍、お前は付き合ってくれるよな」
「楽、俺は代打か…」行くけど
「…もぅっ!抱かれたい男No.1とNo.2が肩を並べて飲むなんて」
「これ以上ないってくらい、侘しいね」