第9章 抱いて差し上げましょうか?
《 抱かれたい男 ランキング 》
女性はやっぱり、そういう類の話題には食いつくものだ。そんな話ばかりしていて飽きないのだろうか。
なんて、呆れにも似た心境でいたのだが。一瞬でそんな考えは吹き飛んでしまう。
《 No1. 八乙女楽(TRIGGER)》
ガタ!!
座っていたメンバーも、その文字を見つけたのだろう。全員凄い勢いで立ち上がる。
「ねぇー?凄いでしょ!?社長も大いに喜んでるわよ!」
姉鷺の言葉には答えず、楽は私の元にツカツカと歩み寄った。そしてその綺麗な指で私の顎をすくうと
「…抱いてやろうか?」
と、ノリノリで言い放った。
『っ…、間に合ってます!』
私は、バッと顔を横に背ける。
あぁ。こんなしっぺ返しを食らうなら、さっき楽をあんなふうにからかうんじゃなかった…。完全なる失策だ。
「何へんな遊びしてるの。それよりほら、続き見なさいよ!」
?まだ何か、驚くような内容が書かれているのであろうか?私達は再び雑誌へと視線を落とす。
《 No. 2 十龍之介(TRIGGER)》
「「『えっ、!』」」
私達の驚きの声は、見事にハモる。
その後、龍之介が確認するような声で 誰とも無しに問い掛ける。
「お、俺が…2位?」
「凄いじゃない。龍」
「TRIGGERでワンツー。ありがたい話じゃねぇか」
メンバーも、その快挙に祝福の言葉をかけている。しかし、肝心の龍之介は…そう嬉しそうな様子ではなかった。
「…ありがとう。でもなんだか、信じられないな。俺なんかでいいんだろうか…」