第65章 月みたいな人
※
しかしこのままでは、こちらの面子も何もあったものではない。私は天の中心にそっと手を伸ばす。
「っ、」
『私だって…天のこと、気持ち良くしたいと…思ってるんだよ?』
涼しい顔をしているから、余裕があるのだと勝手に思っていた。
しかし天のそこは、そうは言っていなかった。服の上からでも、硬い感触が分かるくらいに 大きくなっている。
ほんの少し手が当たっただけで、陰茎はピクンと反応した。
「…分かったでしょ?余裕なんて、ないんだ。だから、もう、キミの中に入っていいかな」
天のポーカーフェイスがついに崩れる。しっとりと欲に濡れた瞳で見下ろされ、熱い息遣いで 私に覆い被さる。
こんなにも、男の色香を見せ付けられ迫られたら、拒めるはずがない。
私が頷くと、天は鼻先に ちゅっと軽い口付けを落とした。そして、その場を離れようとする。
すぐに、ゴムを取りに行こうとしていると分かる。私はそんな彼の腕を掴んだ。
『天、いいから。早く…来て』
「いいからって…。何も良くない。ちょっと待っ」
グダグタ言う彼を、強引にベットへ誘う。そして背中に両腕を回した。
「エリっ」
『私が、貴方と1つになりたいの。もう、我慢出来ないから…。天、ねぇ 早く」
「っ……なんで、キミはボクを煽るのが上手いかな…!」
天は、苦しげに顔をしかめる。そして、噛み付くように またキスをした。
2人の混ざり合った唾液が、舌の間でまた混ざり合う。脳が酸素を求めるまで、私達は夢中で舌を絡ませ合った。