第62章 俺は君にとって、ただの都合の良い男だったのか!
「なるほどなぁ。そうかそうか。春人お前は、ずっとゲームの話をしてたってわけだ」
『だからそう言ってるじゃないですか…
って いうか楽、なんで満面の笑みなんです?笑顔が怖いんですが』
「仮にゲームの中の話だったとしても、TRIGGERを悪く言いやがって。言っとくけど、俺すげぇムカついてるぜ。
覚悟は、出来てんだろうな?」
『は?
いっ、いたたたたたっ』
楽は、両の拳でエリの頭を挟んだ。こちらにまでゴリゴリと音が聞こえてきそうだ。
この中で唯一、春人が女と知らない楽。容赦なく振るわれる暴力に、正直言って周りは気が気じゃなかった。
「が、楽!ゲームの話だったんだから春人くんを許してあげて!」
「そうだよ楽!春人ちゃんの頭がもげちゃう〜!」
俺と百の必死の説得で、楽はなんとかエリの頭を解放する。
「これぐらいで許してやるか。
で?ゲームの中での俺は、そんなに不遇なのか」
『い…っつ…
え?あぁ、まぁ…プレイヤーによるとは思いますけどね。私はこのゲーム、かなりの古参。さらにアクティブユーザーなので、楽みたいなスキルの子は必要ないんです』
「ははっ。そうか、俺は必要ない子か!
……もう一回いっとくか」
再び立ち上がった楽を見て、エリは俺の背中の後ろに隠れた。
自他共に認めるゲーマーであるエリ。その彼女が見せてくれたゲーム画面には、俺と楽と天の3人が写っていた。
写っているとは言っても、さきほど百が言っていた通り、ゲームキャラクターとしてデフォルメされたものだ。
「ボクは、それなりなの?」
『スキルは良いんですよ?TRIGGERのセンターらしい強スキルですし。判定縮小スコアアップは、上級者にはありがたいスキルです』
「ふーん??」
返事はするものの、天はよく分かっていない様子だ。ちなみに俺も分からない。頷いているのは百だけだ。
楽は携帯の画面を覗き込み、自分のスキルはどんなものなのか彼女に問う。