第62章 俺は君にとって、ただの都合の良い男だったのか!
意気消沈した様子で、スマホに視線を落としているエリ。その隣で、ついに我慢の限界といった様子で千が噴き出した。
「ふっ、ふふっ!あははっ、ごめ…!僕、もう駄目、我慢出来なっ…」
『??』
「あー…ごめんね?ユキの笑いスイッチが入っちゃったから、オレから説明するよ。
春人ちゃんとオレ達が話してたのって、コレについてだったんだ。ほら、見覚えあるでしょ?」
そう言って、百はスマホの画面をこちらに向けた。
そこには、あるゲームが写っている。そのゲームには、確かに見覚えがあった。
「これって…ちょっと前に俺達がコラボした、音ゲーすよね?」
「間違いないよ!俺も覚えてる。たしか俺達3人とRe:valeさんが、実際にキャラクターとして登場し……あっ!」
「プロデューサーは ボク達の話ではなく、このゲーム内のボク達について話してた。そういう事ですよね」
「はーーい!天 お見事っ大正解ー!」
「ふふ、ご、ごめんね…!外で君達が張り付いてるの分かったから…ちょっと悪戯したくなっちゃって。
彼の前で、わざとTRIGGERの話を振ったんだ」
へなへなと、床に座り込んでしまいたい心地だった。とにかく、安心した。
エリが話していたのが、ゲームの話で本当に良かった。
「まぁ、ボクは最初から分かってたけど」
「嘘付け。お前、今日を強引にエイプリルフールにしようとしてたじゃねぇか」
「っぷ!はは!エイプリル、フール!あははっ!もうやめてくれ、お腹が痛い!」
「うんっ、笑い転げるユキもキュートでラブリーでプリチーっ!」
人を殺しかねない瞳で、天は千を見下ろしていた。