第62章 俺は君にとって、ただの都合の良い男だったのか!
《TRIGGERだってさ!オレ達ほどじゃなくても、悪くはないでしょ?》
《いえ。正直、雲泥の差です》
《へぇ。じゃあ例えば…天くんは?》
《まぁ、それなりですかね》
俺の下にいる楽の、さらに下で身を屈めている天。怒りか悲しみからか、震える声を出す。
「ボクが……それ なり?
あ、そうか。そういえば今日って4月1日だったよね」
「だったよね、じゃねぇ。4月ですらねぇぞ。現実逃避すんな天。お前の評価は、それなりだとよ」
「天が現実逃避する姿なんて…もう一生見られないかもしれない」ごくり
俺達は、続けて会話を盗み聞く。
《あっはは!厳しいにゃぁ。じゃあ楽は!?》
《楽は、話になりません》
俺も天も、楽の方が見られなかった。今この瞬間以上に、どう声を掛けていいのか分からない状況に陥った事はない。
「……あいつ、ブっ殺してやろうか」
「が、楽っ!!」
「気持ちは分かるけど落ち着いて。話にすらならない人」
「〜〜っっ!よし分かった お前からヤってやるよ!」
「ちょっ、しー!2人共しーっ」気付かれちゃう
今にも暴れ出しそうな楽の体を押さえて、口元も押さえる。
何とかなだめるも、さすがに気付かれてしまっただろうか?恐る恐る、中の様子を窺う。
百と千が、こちらに視線を向けたような気がした。しかし、それはほんの一瞬で。中の3人はすぐに会話の続きを始めた。
《ふふ。じゃあ、龍之介くんは どうなんだ?》
《あぁ、龍は…
使い勝手は、かなり良いです。でも、それだけですね》
「「……龍」」
「……うっ、酷いよ春人くん!君が俺をそんな目で見ていたなんて!使い勝手が良いって!
俺は君にとって、ただの都合の良い男だったのか!」
「なんつーか、龍がそういう事言ったら…」
「卑猥」