第61章 束縛強い男みたいになってねぇか?
戻っては来たが、そこに春人の姿はなかった。トイレの中も確認したが、やはり見当たらない。
「あいつ、どこ行ったんだ」
「まぁ、ボク達がトイレの中に居ない事には気付いてるだろうね」
「ど、どうしよう。春人くん、もしかして今頃 どこかで凄く怒ってたりして」
俺達は、電源を切っていた携帯を立ち上げる。そして、俺が代表して連絡を入れようとした その時だ。
悪魔のような、館内放送が流れたのは。
《 館内のお客様に、迷子のご案内を致します。
身長190センチ。惚れ惚れする筋肉美を持つ リュウくん。
色白で、まるで天使のように可愛らしい容姿の テンちゃん。
サングラスでは隠し切れないくらい目付きの悪い ソウスケくん。
保護者の方が探しておられます。お心当たりの方は、正面1階の本部までご連絡下さいませ 》
俺達の周りにいた客達 全員が、一斉にこちらを見る。そして、口々に呟く。
「え、いま放送されてたのって、あの人達じゃない?」
「ヤダかわいー♡迷子だって」
「デカイな…」
「ほんとに天使みたい」
「うわ。マジで目付き悪いな」
「間違いなく怒り狂ってるのは伝わって来たね」
「うぅ…酷いよ、春人くん。迷子放送するなんて」
「あいつ…っ!信じられねぇ!わざわざ俺だけ親父の名前使いやがった!!」
「「怒るのそこなんだ…」」
気が付けば、俺達の周りにはザワザワと人が集まり始めていた。万が一、俺達の正体がバレれば騒ぎになってしまう。
そうなる前に、3人連れだって1階の本部へと移動した。