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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第61章 束縛強い男みたいになってねぇか?




自分達で選ぶとは言ったものの、この中から1本に決めるのは骨が折れそうだ。

春人に似合いそうなネクタイを、想像する。頭の中で、コレというタイを装着させてみた。
とりあえず、春人に似合うであろう色は…


「グレー…」
「ピンク」
「藍色?」


ネクタイから視線を上げると、2人も俺と同じように首を傾げていた。しかし、同じだったのはポーズだけ。それぞれのチョイスは、見事にバラバラだ。


「…白も黒もあいつは似合うけど、どっちも捨てがたいから中間のグレーだ。これで決まりだろ」

「なに。その中途半端な理由。プロデューサーは女性的な顔付きだから、ピンクが似合うよ。間違いない。あ、淡いやつね」

「春人くんって、空とか海が好きだから、青系の色の物だと喜んでくれると思うな。しかも、ちょっと緑っぽさも入った青だと最高だよ!」


各々の言い分を述べた後は、無言で見つめ合う。どうやら、全員譲る気はないようだ。
こうなったら、選ぶべき答えは1つしかない。


「俺はグレーを買う」

「ボクはピンク」

「俺は藍色!」

「3つ共やって、あいつにどれか1番好みか決めてもらおうぜ」

「ふ、望むところ」

「あははっ、ワクワクするね」


俺は、改めて自分が選んだネクタイを手に取ってみる。
最上級のシルクサテンからは、しっとりとした色気が感じられる。生地が柔らかいので、着け心地も良さそうだ。

春人はほとんど無地のものしか選ばない。それを分かっている俺達は、自然に柄物は避ける。さらに奇抜なシルエットを避け、普段から使えるようなフォーマルな物を選んだ。


「素晴らしいチョイスだと思いますよ。良い物を見つけていただいて、私も嬉しいです」


レジで、店員は俺達に言った。そして、選んだ物をプレゼント用に包装してくれた。
俺達も丁寧に礼を言い、店を後にする。

そして、足早に春人と別れたトイレへと向かうのだった。

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