第61章 束縛強い男みたいになってねぇか?
「「「ネクタイ……」」」
俺達は、同時に呟いた。そして互いの顔を見合わせ、これだ。と頷き合う。
春人へのプレゼントが、決まった瞬間だった。
「おお!いいよな、ネクタイ!」
「彼の必需品だしね」
「うん!今となっては、もうこれしかないって思えるよ!」
買う物は決まった。俺達は再びエレベーターに乗り込む。また龍之介が、パネルの前を陣取る。
「よし!じゃあ……
あれ?ネクタイって、どこに売ってるんだっけ」
「……ネクタイ屋?」
「そんな鯛焼き屋さんみたいな感じであるの?」
普段ネクタイを自分で買わない俺達の知識は乏しい。とりあえず、男物の洋服が売っている階を目指すことにした。
到着したのは、紳士服売り場だ。ありがたい事に、エレベーターを降りてすぐの所にスーツ販売店があった。店頭には、ネクタイがずらりと並んでいる。
カラーが豊富なのは勿論、形も色々と種類がある。タイトなものから太目のフォーマルなもの。さらに言えば、ボウタイまでが並んでいた。
「はは!蝶ネクタイとかどうだ?この漫才師が着けてそうな奴とか!」
「楽。真面目に選ぶ気が無いなら黙ってて」
「冗談だよ。怒んなよ」
「これだけ種類があったら迷っちゃうよね。あ、他の店にもネクタイ売ってそうだよ!」
フロアを見渡すと、スーツを扱う店は他にもあるようだった。そして、その店のほとんどでネクタイも置いているようだ。こうなってくると、どの店で購入するべきか悩ましい。
「プレゼント用のネクタイだろ?1本千円とかのネクタイはねぇよな」
「うん。高ければ良いって問題ではないだろうけど、どうせなら良い物をプレゼントしたい」
「そうだよなぁ。じゃあ、とりあえず高級そうなスーツ屋さんを探してみようか」