第61章 束縛強い男みたいになってねぇか?
とりあえずは、春人に見つかる危険性のある この階から移動しようという事になる。俺達はエレベーターに乗り込み、また相談タイムに突入する。
龍之介が、操作パネルの前に立ち こちらへ問い掛けた。
「で?何階に行こうか」
「何を買うかによるよね」
「あいつ…何をやったら喜ぶんだろうな。
あ、この時期なら手帳とかどうだ?」
「でも手帳って、その人が使いやすいお気に入りのメーカーとかがあるんじゃない?もう買ってる可能性もあるし」
「じゃあお前は何がいいと思うんだよ」
「だからそれを今考えてる」
「とっ、とりあえず最上階でいい?」
階数ボタンを押さず待っていた龍之介だったが、待ち切れずに最上階を選択した。
3人を乗せたエレベーターは、間も無く屋上の1つ下の階に到着した。扉が開き、外へ出る。
「龍は何か目ぼしいのあるのか?」
「うーん…ゆ、指輪とか?」
「指輪!?」
「重くない?せめてネックレスとか」
「ネックレス!?」
正直な感想を言ってもいいなら、こいつら正気か!?だった。
男が男にアクセサリーをプレゼントする事例は、なかなか聞いた事がない。
「お前ら…プレゼントのチョイスが、束縛強い男みたいになってねぇか?」
「え、そんな事ないと思………そうなのかな」
「天も、絶対に浮気は許さないタイプだろ」
「それ当たり前じゃない?」
「とにかくだ。お前らは、常に身に付けていられるようなプレゼントを、あいつにあげたいんだな」
2人は、少し考えた後に頷いた。
やっぱり重いような気もするが、せっかくの記念日だ。何か形に残るプレゼントを贈りたいと思うのは俺も同じだった。
「プロデューサーが、いつも身に付けてるもの…」
「仕事道具とかでもいいかもね。
あっ、ボールペンとかどう?自分ではなかなか買わないような、ちょっとイイ奴!」
「春人、粗品とかテレビ局とかのボールペンしこたま持ってるぞ。
私、このボールペンを生きてる間に全て使い切れるでしょうか。
ってこないだ言ってた」
俺の渾身のモノマネに、天と龍之介は笑う。
いやいや。笑ってる場合じゃねぇだろ!と突っ込んだ。