第61章 束縛強い男みたいになってねぇか？

「べつに好きじゃねぇ！何となく気になっただけだって言ってんだろうが！」

「ふーーん…」

「大体な。俺はいま、人の恋愛事情にかまけてる程の余裕ねぇんだよ」

「？？
それって、どういう事？楽」

「だから、自分の事で手一杯なんだ！」


言ってから、しまった。と思った。ついつい乗せられて口走ってしまったが、これでは今まさに絶賛恋愛中ですと言っているようなものではないか。

案の定、鋭い天がポージングを止めてまでこちらに近付いて来た。


「楽。詳しく」

「？？」

「…べつに、何も ねぇぞ？」

「キミは ずっと馬鹿みたいにLioだけを追い続けて来た」

「馬鹿とか言うな」

「そんなキミの恋愛は、Lioが目の前に現れない限り膠着状態のはずでしょ。それがどうして突然、手一杯になるくらい 事が動いたの」

「う……」


普通、たったあれだけの情報で ここまで考え至るだろうか。相変わらず、嫌味なほど鋭い男だ。
天に追い詰められる俺を、龍之介は静かに見つめていた。ここはいつもみたいに、まぁまぁ とか、それくらいにしておいてやれ とか言うところだろう！

冷や汗が背中を伝う。なんとか逃れられないかと、天から顔を背けた。しかし、非情にも追い討ちが掛けられる。


「…言いにくそうなキミに、選択肢をプレゼントしてあげる。
キミの恋愛が動くとすれば、この2択。

目の前に突然、Lioが現れた。
Lio以外に、好きな人が出来た」


天は俺に顔をずいっと近付けて、どっち？と、さらに圧をかける。


「……前者…、じゃ、ない方」

「「！！」」


俺が選んだのは、他に気になる人が出来た。という後者であった。
それは、言わずもがな。エリを指す。

ずっとLioだけを想う俺を見て来た2人は、驚きを隠そうともしなかった。