第61章 束縛強い男みたいになってねぇか?
「あっ、あぁ!いたね!ポカリンスエットのCM撮影の時に会ったよ!」
「俺も思い出した!やたらと春人に馴れ馴れしかった金髪の男!」
俺と龍之介は、2人して手の平に拳を打ち付けた。
天は、鏡に映る自分と睨み合いながら 先程までのおさらいをしていた。
俺は目の前にあるポカリンスエットを一口含んで、飲み下す。
「そういえば、春人の交友関係って…謎だよな」
「たしかに…あ。でも百さんに色々と “ お友達 ” を紹介してもらってるみたいだよ?」
「その “ お友達 ” は、友達であって友達じゃないと思うけど」
天の言葉は、理解に容易い。春人が百に紹介してもらっているのは、お友達と言う名の有権者だからだ。
ならば、奴には本当の友達は いるのだろか。いや、そりゃいるだろうが。普段、春人がつるんでいる友達像がイメージ出来ない。
そういえば、四葉環がそうだったか。今から考えても、意外な組み合わせだと思わざるを得なかった。
友達像もそうだが、同時にもっとイメージ出来ないものもある。
「あいつ…彼女とか、いると思うか?」
「「いないと思う」」
「なんだよ、お前ら今日は特に仲良いな」
またも綺麗にハモってみせた天と龍之介。
春人に彼女がいないと、どうしてそうも言い切れるのだろう。
「楽はやっぱり…春人くんに、恋人がいるかどうか 気になるんだね」
「え、いや…何となく思い付いただけだぜ?」
「楽は、恋バナが好きなだけでしょ」
鏡の前でポージングの練習をしていた天が、こちらに視線をやって言う。