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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第59章 凄く綺麗ですね!




『っと…いや、あのさ。これは、違うよ?
あっほら、春人さんは、友達みたいなものだから!だから全然、大丈夫って言うか…』

「あ、いや。俺が、あんたの飲み物を注文してやれば良かったんだよな。気が利かなくて悪い」


楽は言って、手を上げる。すると気付いた店員がやって来くる。私がオレンジジュースを頼むと、それはすぐにテーブルに運ばれて来た。

と、いうか…
優しい。圧倒的に優しい。むしろ誰だ、この優しいイケメンは。
この男、自分が意識する異性にはこうも優しくてデレデレなのか。普段とのギャップに油断していると、つい心が持っていかれそうだ。

それに、話し方も。いつもとは、やっぱり違う。春人や仲間に向ける言葉遣いとは違うのだ。
声質も、柔らかくて、丸い。1文字1文字が、なんだか いちいち優しい。


『あ、ありがとう』

「いい。全然。
それよりエリ。いくら友達だからって、少しは…そういうの気にしてくれ」

『そういうのって?』

「だから…か、間接キス とか」


楽は、少し恥ずかしそうに顔を背けて告げた。その あまりにシャイボーイな一面に、私の顔は思わず綻んでしまう。


『…ふ、ふふ。間接キスって、あはは!抱かイチの男が、なんで間接キスくらいで、そんな真剣になっちゃうの』

「なんで真剣になるのかって?」


私が声を上げて笑っているのに対し、楽は至って真面目な表情だった。
あまりの温度差に、思わず ストローから吸い上げていたオレンジジュースも途中で止めてしまう。


「相手が、エリだから真剣なんだろ。他の誰が、どこで何しようと 俺には関係ねぇけどな。あんただから…俺が嫌なんだよ。

…なぁ。言ってる意味、分かるか?」

『……わ、分かりません』


意味なんて簡単に分かるのに、私は全力で分からないふりをした。

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