第58章 今日1日はお前に付き合うよ
「意外と重いな」
『さすが、銃が似合いますね』
「はは。だろ?」
そこそこ大きな黒いマシンガンを、楽は自らの肩に乗せた笑った。
私は、2人プレイ分の400円を投入。すると、オープニングムービーが始まった。
大きな画面を、楽は真剣な瞳で見つめていた。ムービーの後は、チュートリアルがスタート。しかし私はいつもの癖で、スキップボタンを押してしまう。
『あ』
「おい!」
『すみません、つい』
「なんつー初心者に優しくねぇ男だ…」
仕方なく楽は、銃口を画面に向ける。
顔色の悪い男女が、次々に迫って来る。順調に敵を倒していた楽だったが、なんだか様子がおかしい。
『楽?早く撃ってもらえます?さすがに全部を1人で倒すのキツイです』
「あれ、おい!弾が出なくなったぞ!」
『リロードして下さい』
「リロ…っ」
『画面外を撃てば、自動でされますよ』
一生懸命に銃本体を弄っていた楽だったが、ようやくリロードを完了させ、参戦してくれた。
チュートリアルをスキップした影響が、こんなところに出てしまった。
そして、雑魚敵を一蹴した後、いよいよ1ステージ目のボスが現れる。今までの敵と違い、空を飛ぶし体も小さい。弾を命中させるのはなかなか難しい。
「これ…、結構!指が 疲れるな!」
『え?もしかして、1発1発トリガーを引いてるんですか?』
「違うのか?」
『どうりでさっきから、ガチャガチャ煩いと思ってたんですよ』
「うるさくて悪かったな!」
『押しっぱなしで連射出来ますよ。
まさか、マシンガン撃った事ないんです?』
「あるのが普通みたいに言うなよ…」
楽は、リロードをマスターした。楽は、連射をマスターした。楽は、シューティングゲームのレベルが2上がった。