第58章 今日1日はお前に付き合うよ
ストレス解消法は、人それぞれだろう。そもそも、楽にストレスが蓄積しているかどうかは知らないが。とにかく、スカっとした気分になって欲しいと思って連れて来たのは、こちら。
「…春人は本当にゲームが好きだよな」
『好きですね』
ゲームセンターだ。
私なりのやり方で申し訳ないが、楽にも ぜひゲームを楽しんで、ストレスを解消して欲しいと思う。
私達は、様々なゲーム筐体の間を縫って歩いて行く。目的のゲーム機がある場所は、もう少し奥だ。
「この前あんた、姉鷺に怒られてただろ。仕事場のパソコン勝手に改造すんなっつって」
『あれは、仕方なかったんです。だって、あまりにもスペックがお粗末だったので。あんなパソコンでFPSをやるなんて、ほとんど罰ゲームですよ』
「職場でゲームすんなって意味もあって怒ってたんじゃねぇの?」
『昼休憩にやるんだから自由でしょう』
「まぁそうか。百さんも喜んでたしな。お前とゲームで遊べる機会が増えたって」
『ちなみに、椅子をゲーミングチェアに替えようとしたのですが。それをやったらクビだと言われました。貴方のパパは心が狭い』
「親父の肩を持つのはすげー癪だけど、それはやめとけ」
話をしていると、すぐに目的の場所に到着した。
house of the dai . 物語に沿ってゾンビを銃で倒しながら進むという、シンプルなシューティングゲームだ。
「おし!お前には負けねぇからな」
『ふふ。銃を持つゲームで私に勝とうとは。良い度胸です』
楽の、やるとなったら何でも全力。というスタンスは相変わらずである。彼の大きな長所だと、以前から密かに思っていた。