• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第58章 今日1日はお前に付き合うよ




今日のミッション。それは、とにかく楽に癒されてもらう事だ。
癒しといえば、やはり緑。美しい木々に綺麗な水。そういう訳で、彼を最初に連れて来たのはこちら。

自然公園だ。そして、私達は肩を並べて湖面を見ている。さらに言えば、湖面に浮かぶボートを見つめていた。


『普通のボートと、アヒルさんボートだったら、どっちが良いですか?』

「アヒルさんじゃない方。
いや おい、待て。本気か?本気で男同士でボートに乗るつもりなのか?」


楽は、改めて湖に視線を向けた。私もそれに倣って、キラキラと光を反射している水面を見つめた。

湖には、数艘のボートが浮かんでいる。その全部に、もれなくカップルが乗っていた。


『受付はあっちみたいですよ。借りて来ますね』

「強気だよなぁ、相変わらず」


何だかんだ言いつつも、楽は私の後ろを付いて来てくれる。
受付の側には、スナック菓子が売られている。誰しもが知る、河童の海老煎餅。やめられなくて、とめられない奴だ。


「鯉や鴨の餌だな。買うのか?」

『生き物との触れ合いは、精神衛生上とても良さそうなので買い……』

「ん?どうした」

『が、楽…!なんと、いう事でしょう。河童海老煎餅の小袋が…ひゃ、150円も、するんですけど』


棚に、大量に並んだ河童海老煎餅。そこに、ダンボールの切れ端で作られた値札が乱雑に置かれていた。その値札には、ピンクの蛍光ペンで150円と記されているのだ。


『スーパーで、5つ連なった河童海老煎餅が100円程で売られているというのに…。と、いう事は 7.5倍…!7.5倍ですよ!いくらお祭り価格と言ってもこれはさすがに』

「分かった!俺が買ってやるから!頼むからもう何も言うな!な!」

『…私のポケットにたまたま入っていた、札幌ポテイトでは駄目でしょうか?』

「駄目だろ…。受付のじぃさんが、何とも言えない目でこっち見てるぞ」

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp