• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第56章 見てない!見てない見てないよ!




『龍、私は千さんと付き合ってない』

「え…そうなのか」

『恋人作る暇もない事は、貴方もよく知るところでしょ?』

「それは…たしかに。あ、いつもお世話になってます。
って、いやいや!そうじゃなくて!!じゃあ君は…その、付き合ってない人と…その、そういう事を?」

「ボクも、キミの貞操観念は理解しがたいよ」

『……』


私は、目の前の2人から1度視線を外す。そして、側にあった帯に手を伸ばした。
正面から少しずらした位置に、蝶々結びを作る。そして、改めて2人に向き直る。


『私の貞操観念、知りたいなら教えてあげるよ。
好きな人とは、する。嫌いな人とも、出来る。
私にメリットのない相手とは、しない。
あと…綺麗な愛を求める人とは、したくない』


どう?シンプルでしょう?と言葉を付け加える。龍之介は何か考え込むような表情になり、天は私から顔を背けた。


『まぁ、あくまで恋人がいないっていう前提の話だけど』

「へぇ。それを聞いて少し安心した」

「はは、まぁ…俺も」

『それにしても…まさか千が、こんな置き土産残してるとは…。こういう事をして喜ぶイメージはなかったんだけど』


恋人同士でない2人が愛し合う上で、タブーはいくつもある。関係を持った事を口外しないのもそうだし。それに、跡を残さない事も。
それくらい、彼は心得ていると思っていた。


「牽制、嫌がらせ」

『え?』

「彼の考えてる事、キミに分からなくてもボクには分かるよ。だからこそ…腹が立つ!」


珍しく、天がストレートに怒りを露わにした。


「ねぇエリ。ボクが、キミの私生活に口を出す権利は無いのは分かってる。
だから、するな。とは言わない。でも、お願いだから…心までは、許さないで」


珍しく、天は弱気な顔でそう告げた。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp