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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第8章 なんだか卑猥で良いね




「いや、それにしても。
ステージの4時間前に到着ってのは…さすがに気合い入れすぎじゃねぇか?」


まぁ、その通りである。私だって、こんなに早く着く予定はしていなかった。
本番前に軽くステージを下見するとしても、せいぜい一時間前が関の山だろう。

そう。これは、ミスである。
どうしたものか。正直に言ってしまおうか。でも、殴られないだろうか?

13時と17時を 聞き間違えた上、当日まで気が付かなかった。なんて言ったら…。


「ど、どうしたの春人くん!?汗が凄いぞ!」

「…さっきから随分大人しいし。おおかた、13時と17時を間違えたんじゃないの?」


ガクゥ!と崩れ落ちるように両膝を折る。


『も…申し訳、ありません!私、こんな不祥事…どう責任を取れば良いか…っ。
もう打ち首でも島流しでも、どんな処分でも甘んじて受け入れます!』

「武士かお前!!」しねぇよ!


楽は腹を抱えて、笑いを我慢する事なく突っ込む。


「だ、大丈夫だよ春人くん!誰も怒ってないから、とりあえず立とうか」

「ボクは怒ってるけどね」


私は龍之介の優しい手に捕まって、立ち上がろうとしたのだが。すかさず天が横槍を入れる。

ガクゥ!と再び膝をつく私。そんな様子を、指差しして笑う楽。


「こら天!そんなふうに春人くんをいじめたら駄目だろう?」

「ごめん。ちょっと面白くて、つい」


あぁ。龍之介がまるで優しいお兄ちゃんのように見えてきた。
軽く謝った天は、賑やかな窓の外に目を向けて言葉を続ける。


「ま…たまには、こんなふうに。何もする事がない時間っていうのも…。
悪くはないんじゃない?」

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