第1章 もしかしなくても、これって脅迫ってヤツですか?
『出来ました』
「〜〜〜っ!良い!やっぱり良いわぁ〜♡」
「…ほう」
175センチの身長。サラサラの金髪。青色の瞳。
そんな姿に私は変身を遂げていた。
『あの、金髪碧眼なのは何故ですか』
「アタシの趣味よ!!」どーん
あぁ、そうですか…。
どうして男装を条件にしたのか。私が社長に質問すると、彼はこう答える。
「まず、メンバーと恋愛関係にならない為だ」
『なるわけないでしょう。私の事なめくさってんですか』
「こらこら、アンタ自分の社長に向かって…」
自分が受け持つアイドルと恋愛?そんな事には絶対にならない。
「お前がそのつもりでも、向こうはどうか分からないだろう」
なるほど。
本当の性別を知られてはいけない人間は、業界人だけでなく、TRIGGERのメンバーまでも含まれるらしい。
「他にも理由はある。
これから売り出すアイドルに、若い女がくっついていたら…ファンは良い気分にはならんからな」
「逆に、マネージャー兼プロデューサーが 綺麗でキラッキラな王子様みたいな見た目だったら…いい意味で話題になるかもしれないでしょ?」うふふ
…さすが八乙女プロ。利用できる物はなんでも利用するらしい。
『でも、この姿だと…ご所望の “ 手段 ” が使えないですが』
手段=枕営業だ。言うまでもなく。
「…そこはお前の判断に任せる。女だという事を暴露してでも、“ 手段 ” が必要な時は 使え」
『……了解』
業界人には、両刀使いが多い。
ぶっちゃけ性別はそこまで問題にはならないだろう。とりあえずベットにまで事を運べば、なんとでも出来る自信もある。