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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第55章 “ お約束 ” の においがプンプンしますな!




部屋に荷物を置き、機材を持ってスタッフと共に旅館の前へ移動する。
そして、外観の前に立った3人はオープニングトークを始めた。

残す撮影は、温泉シーン、食事シーン、そして、この旅館の名前の由来ともなっている光景の撮影だ。

温泉と食事は、夜でなくても構わない。しかし、あの池に映る紅葉の景色を撮るのだけは 夜でなければならない。
池があぁも見事に鏡の役割を果たすには、暗闇が必須だからだ。

予定通り、まずは温泉での撮影から取り掛かる。もう少し待てば、夕陽をバックにした撮影が可能なはずだ。



『楽。お願いですから、肌色水着を着て、ちゃんとタオルを腰に巻いてから来て下さいね』

「お前な…。そんぐらい、さすがの俺も分かってるぞ」

「楽なら裸で入って来かねない」

「天まで!!」

「ははっ。楽は、プライベートではタオル巻かない派だもんね」

「おう。隠さなけりゃ恥ずかしいようなもんは付いてねぇからな!ま、龍には負けるけど」

「ちょっ!楽っ!」


ガン!!!


私は、自らの頭を 脱衣所の壁に打ち付けた。


「お、おい。春人、お前 どうした?」

「春人くん!?大丈夫か!?あぁ、おでこが赤くなってる…」

「……」
(気の毒に)

『〜〜っ、すみません…今の会話を、頭から抹消しようとしたのですが…失敗しました』

「お、おう…いいと思うぞ、失敗で…」

「失敗でもいいから、もう頭突きはやめるんだ春人くん!」


もう1発いこうとした私を、龍之介は羽交い締めにして止めた。
私は彼に、もう大丈夫だ と告げて、一足先に温泉へ向かう。


『天…楽がちゃんと肌色水着を着ているところを、見届けて下さいね』

「了解」

「なんだよ。そんな気が触れそうになるぐらい心配だったら、お前が自分で見届けりゃいいだろ」

「あ、そうだね。ついでだから春人くんも俺達と一緒に温泉に入っちゃえば?」

『………』

「だ、そうだけど?
キミも、一緒に入る?温泉」

『勘弁、して下さい』


私は もうもうと白煙立ち上る温泉へ、ふらふらと向かったのだった。

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