第55章 “ お約束 ” の においがプンプンしますな!
とにかく、このまま無視をする訳にはいかないだろう。せっかく千の調子が戻りかけているのだ。ここで選択肢をミスる事は許されない。
いやしかし、どう返す?
さきほどの電話で彼は、私に言った。優しくしてくれるな、と。
では一体、何が正解なのだ。
『…問題です』
「「「は?」」」
『異性から突然、何の前触れもなく、メッセージで “ 好きだ ” とだけ送られて来ました。さぁ、何と返すのが正解でしょう』
シーーンと、水を打ったように静まり返るメンバー。しかし すぐに声を上げる。3人同時に。
「おまっ、それってどういう」
「送られて来たってキミに?送り主は?」
「そ、そういう話なら俺は役に立てないかも!」
『ただの雑談です。気軽に答えて下さい』
「…はぁ。キミは?
その送り主のことが、好きなの?」
「天の言う通り、そこを聞かなきゃ答えようがねぇよな」
「なんだ…雑談かぁ」ほっ
確かにそうだ。私がどう思っているか伝えなければ、彼らとて具体的に答えられない。
つまりは、私が千をどう思っているか、だ。それなら答えは決まっている。
『好きですよ、普通に』
「何だ。なら答えは簡単じゃねぇか。
俺も愛してる。これ以外にねぇよ」
『…却下で』
「なんでだよ!!っていうか、雑談だろこれ!」
やはり、楽の意見は参考にならない。抱かれたい男1位の言動を、私が真似られる訳がなかったのだ。
「…好きな相手から 好きだって言われる、か。ボクなら…
ボクのどこが、どれくらい好きなのか。1つの漏れも無く全部教えて欲しい。って、返すかな」
「「『天……』」」
キリリと答えた天に、一同は温かい視線を送った。
『…可愛い』ほっこり
「お前、恋愛して来なかったんだなぁ」ほっこり
「はは。分かる、分かるよ。知りたくなっちゃうよね」ほっこり
「ちょっと!微笑ましい目でこっち見ないでくれる!?」