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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第53章 隣にいるのは君が良いな




「あぁ楽しかった。京都満喫してるって感じ。君のおかげだね。色々とありがとう」

『とんでもない。こちらこそ、大いに甘えさせてもらって すみません。主に金銭面で』


私達は祇園通りを歩く。まだ日暮れではないので、火は灯っていない。しかしそれでも、京都らしい町並みを味わう事は出来る。

いくら長髪を隠してマスクをしてしても、千は目立った。素性がバレているのかバレていないのかは分からないが。とにかく多くの女性が、少しでも千の姿を長く視界に入れようと振り返った。

こんな人の隣を、女の姿で歩くのは無理だ。男装を解こうかと少しは考えたが、やはり無理だ。


「あと京都らしい事と言えば…」

『お座敷遊びとか』

「あぁ…モモは楽しいって言ってたけど。僕は、どうかな…
舞妓さんって、あまり興味が唆られないんだよね。だって真っ白でしょ?」

『まぁ、千さん自体が舞妓さんより美人だか…

千の方が、綺麗だよ』キリ

「ねぇ。何で今、言い直したの?」

『いや、そろそろ夫婦漫才が恋しくなってくるかと思いまして。愛ある言葉を紡いでくれる百さんも、恋しいでしょう?』

「君が紡いでくれる愛の言葉だったら、いくらでも欲しいけどね」


また千は、こういう事を言う。彼は、あまりにサラッとこの手の言葉を簡単に口にするから。何が本気で何が冗談で、どこからどこまでが言葉遊びなのか未だによくわからないのだ。


『…とりあえず、お座敷遊びは無しで。私もそこまで好きという訳ではないので。
まぁ、伝統と趣を感じられる点は素晴らしいと思いますけどね』

「え、君も舞妓さんと遊んだ事あるの?」

『以前、接待で』

「本当に、何でもやってるよな…」

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