第52章 D.C
【2日目・夜】
夕食を終えたメンバー達。一息ついたところで、早速 私が用意した物に食いついた様子。
それは、テレビとソファがある空間に置かれた、ある物。
テーブルの上に置かれたそれに、3人は近付いた。
「えっと、これってさ…」
「ま、やれ。って事だろうな」
「プロデューサーの趣味が全開過ぎる気も、しないでもないけどね」
“ Dragon Fantasy ”
ゲームをしない人達でさえ知っている、某有名RPGのタイトルだ。
数多くのナンバリングが世に送り出されているが、今回はさっくり遊べる物をチョイス。私の好みは7辺りなのだが、今日メンバー達の為に選んだのは、複雑なシステムなどが絡まない1だ。
「ほら、見てみろ。すげー嬉しそうにニヤニヤして こっち見てるぜ」
「早くやって欲しいのかな?ほら、天。コントローラー」
「ボクがやるんだ」
龍之介は天にコントローラーを握らせると、機体のスイッチを持ち上げた。
レトロゲーとは思えない、荘厳なBGMが鳴り響く。
「2人は、こういうのやった事あるの?」
「まぁ少しはな。ガキの時、友達と」
「俺も、そんなに詳しくはないけど。触ったことくらいはあるよ。弟達も好きだったしね」
ふぅん。と、天は気のない返事だ。もしかすると、彼はテレビゲームというものには触れてこなかったのかもしれない。
だとすると、これは天の初ゲームプレイの映像となるかもしれない。図らずしも、貴重な画をおさえてしまった。