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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第7章 どうやって僕達を、楽しませてくれるのかな?




そんな事を知りたがるなんて。少し意外だった。
千はもっと淡白な男だと思っていたから。


『…TRIGGERの為に身を差し出したのは、今日が初めてです』

「なるほど」


誰に何と言われたって、この方法をやめるつもりはない。

私は決めているから。持てる能力全部使って、自分がプロデュースするアイドルを押し上げると。

しかし。この行為を卑怯だなんだと、悪と捉える人間がいる事も事実。

ふと、この男はどうなのだろうと気になった。ほんの戯れだ。聞いてみる事にした。


『…貴方は、こんな私を 汚いと思いますか?私は、目的の為なら何だってしますよ』


私はゆっくりと、千に顔を近づける。


「君は、綺麗だよ。とてもね」


私の目の前で、ハッとする程美しく微笑んだ。


その時、カチ と。時計の短針が12の文字を指した。


『………』


私はベットの端から腰を上げる。勿論ここを去る支度をする為だ。
しかし、そんな私の腕を掴む手。


『もう12時になりました。私は帰ります』

「そうだね。たしかに今日という日は終わってしまったけれど。

君は、シンデレラじゃない。時計の針が12時を回っても 魔法は解けないんだ」


…たしかに、私はシンデレラなんかじゃない。

でも、目の前にいるこの男は…紛れも無い王子様だ。


私からそっと手を離して、今度はその手を差し出した。


「ここからは、君が選ぶんだ。このままここを去るか。
それとも…この手をとるか」


切れ長の目は私を確実に捉え、美しい唇が誘う言葉を紡ぐ。

この男は、もうとっくに分かっているのだ。私がどんな答えを導き出すのかを。

私はゆっくりと千の手をとると、百を起こさないよう なるべく静かに…再びベットへと 戻る。

そんな私を満足気に見届けると、自分のピアスを外してサイドテーブルに置く。
セックスの前にあらかじめピアスを外すなんて。やはり彼は、慣れている。

その落ち着いた所作を見上げながら、ぼんやりとそんな事を考えていた。

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