第52章 D.C
【1日目・朝】
「皆さん、おはようございます。今週も始まりました」
「「「TRIGGERといっしょ」」」
3人が声を揃えて、タイトル名をコールする。進行役を務めるのは、毎度の事ながら天だった。
「皆んな、ここがどこだか分かる?ここは、キミ達の声から生まれた、その名もTRIG」
「TRIGGER寮!すげぇだろ!?後で部屋とかも紹介するけど、内装とか全部TRIGGER仕様なんだぜ!」
「ちょっと楽。台本に沿ってくれるかな?進行がやりずらいでしょ?」
「ははっ、でも楽のテンションが上がるのも分かるよ。だって今日から2泊3日、君達と同じ家に帰るんだから!どんな時間が過ごせるのか、今から楽しみだ」
まずは簡単に企画の説明を行う。その後 3人はカメラスタッフと音声スタッフを引き連れて、寮内を案内して回った。
そんな具合で、無事に1カット目は終了。
『では、次の撮影は本日の18時開始という事で。引き続きよろしくお願い致します』
私が頭を下げると、スタッフ達も挨拶を返し、一旦退却して行った。
TRIGGERは、今の時間からは通常のお仕事が始まる。
「でもよ、ファンは本当にこれ見て楽しめんのか?
だって考えてみろよ。歌いも踊りもしないで、ただ俺達が飯食ったり休んだりするだけだぜ?んなもん、誰得なんだよ…」
「ファンの子達は、歌いも踊りもしないボク達が見たいんだよ。
いつもの “ オン ” じゃなくて “ オフ ” のボク達がね」
「……なるほど」
「さすが天!ファン心理をよく理解してるよね」
この分では、私がわざわざコンセプトを説明して聞かせる必要もないだろう。
少しでも多く、ラフでナチュラルな彼らの姿を。ファンに届けられますように。
私は1人 そう願うと、一足先に駐車場へと向かった。